横浜の統合型リゾート事業プロセスはすぐに白紙になる?!
先日横浜市では市長選が行われました。この結果を受けて、Maybank Investment Bank BhdのアナリストであるSamuel Yin Shao Yang氏は、横浜市のカジノ複合施設の商業パートナーに関する提案依頼(RFP)プロセスはが白紙になるだろう、と指摘しています。
なぜ統合型リゾート事業が白紙に?
これまで横浜市では、現市長である林文子氏が積極的に統合型リゾートの誘致の準備をしてきました。
しかし、2021年8月に横浜市の市長選が行われ、野党が支持する山中竹春氏が当選。
山中竹春氏は林文子氏とは異なり、統合型リゾートの建設に反対の姿勢を示しています。
これまで横浜市内では市民からも統合型リゾート建設に反対する声が多数上がっていました。そして、今回の市長選では山中竹春氏が反統合型リゾートを掲げて当選するという結果になったのです。
これを受けてSamuel Yin Shao Yang氏は、「横浜市長選挙の結果、断固として反統合型リゾートの市長が誕生した」、「したがって、横浜の統合型リゾートの準備はすべて白紙になるだろう」とコメントしています。
また、野村證券のアナリストであるTushar Mohata氏とAlpa Aggarwal氏は、「ニュース報道によると、山中氏は今後数日のうちに統合型リゾートのプロセスを放棄するようだ」と述べています。
新市長、山中竹春氏のコメント
共同通信社の報道によると、山中氏は開票が行われた8月23日の夜に次のように述べています。「横浜が統合型リゾートを開催するための入札を行わないことを明確にするため、近日中に正式な声明を発表する」。
まだ、具体的な声明に関する詳細は明らかになっていませんが、近いうちに山中竹春氏から正式に何かしらの発表があることでしょう。
これまでの横浜市の準備が台無しに…
これまで横浜市はコロナ渦で、統合型リゾート建設に向けて準備を進めてきました。
横浜市は6月に提案書をすでに提出しており、シンガポールのカジノ施設「リゾーツ・ワールド・セントーサ」を運営するゲンティン・シンガポール・リミテッドと、マカオとフィリピンで施設を運営するカジノオペレーターのメルコ・リゾーツ・アンド・エンタテインメント・リミテッドの2社が候補として挙げていました。そして、数ヶ月以内に提案書の結果がわかる予定でした。
しかし、今回の市長選により事態が大きく展開。海外企業をも巻き込んできたこれまでの準備は、すべて無駄になってしまったといっていいでしょう。
また、今回の統合型リゾート事業にて、ゲンティン・シンガポールや親会社のゲンティン・Bhdにとってポジティブなニュースが出ることを期待していた投資家は、短期的にはこのニュースをネガティブに受け止めるかもしれないとも言われています。そのため、企業の株価にも影響を及ぼしかねません。
さらに、ゲンティン・シンガポールは、日本を拠点とするエンターテインメント・ゲーム複合企業であるセガサミー・ホールディングスと横浜のプロジェクトで提携していました。そして、セガサミーは6月に、横浜でのカジノリゾート建設に約1,200億円(10億9,000万米ドル)を投じる予定でした。
横浜市が統合型リゾートから撤退するのであれば、このように多数の企業に影響が及ぶことでしょう。